吾唯足知 うさこの独り言

自分の声を聴く・・・

自分に帰る

誕生日に纏わる意を決した不満のやり取りの数日後、自分のもやもやがすっきりしきっていたわけではないが、御仁の誕生日プレゼントを事前に渡したいと思っていたので、自分の気持ちを気にかけず、カレンダーとの相談で来訪日を決定した。

来訪日に合わせて、プレゼントのチョコやカードを買いに行ったりして準備した。

 

来訪時、今年の自分の誕生日をスルーされたことを引き合いにして、「このチョコを一緒に食べて2人分のお祝いしたらいいんじゃないかな~」とニコニコ嬉しそうに提案した。昨年の誕生日にも、同じブランドのチョコを一緒に食べたという、楽しい思い出があったから、また楽しい気分に浸れるといいなという気持ちで、来訪前から想定したシナリオだった。品物をプレゼントしていた年もあるが、基本的に物欲がない人なので、いろいろと考えた末、消耗する食べ物がいいかなと思ったのも理由だ。

 

ところが、御仁は数日甘いものが続いていたとか何とかで、「食べな、食べな。俺は食べないよ。」と言った。すかさず私が「えー寂しい」っと、声を上げたので、御仁は仕方なさそうに「ああ、だったら。」と言って、一緒に一粒食べてくれた。しかし、その表情が楽しそうでないことは明らかだった。挙句の果てに、「あとは持って帰ったらいいよ。」と言った。せっかくプレゼントに持参したものを持って帰るということに、その時は、一瞬もやっとしたが来訪直後のどたばたで、自分の気持ちをやり過ごした。

 

来訪の数日前に意を決して、誕生日スルーの不快感を伝えることができ、自分としては安堵感があったし、私の気持ちを御仁も少しはわかってくれたはずだという期待感もあった。しかし、一緒にいる時間に、その話が再浮上し、私が誕生日スルーされることで悲しかったかということをいまいちど一生懸命伝えるはめになった。それで伝わるならまだよかったのだが、御仁は自分がいかに誕生日に無頓着な人間かを語り、誕生日に拘っておめでとうを言ってもらいたく画策する私に、半ば説教じみた話を延々と続けた。画策することなく、「さりげなくFBに誕生日登録するとかさ~」と言うので、私はFB上も登録いていることを無表情で伝えると、「え~そうなの?え、他の人からメッセージくる?貴女がいいねボタン押さないから上がってこないとか?」とこちらに向かって主張してくる。数日前にようやくの思いで不満を伝え、来訪してまで再び不満気な私の気持ちを汲むことなく、どこまでも自分を主張する御仁に、私は少々辟易していた。しかし、このような自分の不快感を、ついいつものように押し込めてやり過ごし、基本的にはいつものようなにこにこ仮面だった。

 

しかし帰宅後から数日間、私のもやもやがどうしようもない感じになっていた。数日後に控えた御仁の誕生日のFBには、例年のように毎年大勢の人がメッセージするんだろうし、スタッフとのお祝いケーキの写真も掲載されるんだろうなと思うと、吐き気すら感じた。元来ニコニコ仮面の抑圧女子であり、御仁を神格化し過ぎていることも自覚があった私だが、御仁に対する不快感を感じることができたのは、ここ最近の自分との向き合い修行の成果なのかもしれないと思った。なので、不快感をしっかり感じて、自分の気持ちに意識を集中することにした。

すると、「FBを見たくない。」「散々スルーされた自分は、事前にプレゼントや誕生日カードを贈ったのだし、もはや誕生日におめでとうのLINEメッセージをしたくない。」という気持ちが受け取れたので、私は自分の気持ちに従う決心をした。これは自分でも驚くほど、意思がはっきりしていて、迷うとか、不安だとか、そういう揺らぎみたいのはなかった。なので、自分の気持ちにしたがった。

 

御仁は、自分が私の誕生日をスルーするのは性質だから仕方ないという一方、誕生日拘り女子の私が御仁の誕生日をスルーするとは、思わなかったのだろう。翌朝lineメッセージが来た。誕生日メッセージに言及しないのが、御仁流で翌日の都合伺いだった。その時、ほぼ迷いなく私は私の正直な気持ちを御仁に伝えるよう行動した。なんだか、素直に突き動かされる感覚だった。言葉も慎重に選びつつも悩むことはなかった。

「誕生日に纏わり、自分の気持ちを伝えたり、せっかく準備したプレゼントを持ち帰るのが悲しかったりで、疲れてしまった。

御仁からみると、そんなこと?だと思うけど、誕生日には人一倍拘りが強かったもので。今週は、頭を冷やします」

 

さすがに御仁からは「ゴメンね。」のメッセージはあった。めったに謝ることがないので、素直に嬉しかったものの、さらに続くメッセージが「お互いそんな歳じゃないと思い込んでいた。」とか「100人以上のメッセージがあって、誕生日なんて無くなればいいのにと思ってしまった。」とか、あいかわらず自分主張だったので、すっきりするということはなかった。誕生日なんて無くなればと言いつつ、FBに誕生日を登録し、たくさんの人からのメッセージすべてに返信している。スルーされたくない私にFBの誕生日登録を提案するなら、御仁はFBの誕生日登録を外せばいいのにと思った。

 

こんなもやもやを抱えつつ、自分は自分の機嫌がどんな風に変化するのか、見届けようと思った。自分の機嫌が直るようにと、何とかしようとせず、しっかりとただ感じて、ただ見守るようにしようと思った。しかし2日ほどやり過ごしたら、あまり長いこと拗ねているのは「よくない」とか、18日が一粒万倍日等の吉日だから、そこで機嫌を直したほうが「いいかな」とか、自分の外側に答えを求めようとする悪い癖が出てしまい、挙句の果てに、いかにも優等生のいい人仮面をかぶった感じでLINEメッセージをしてしまい後悔した。

なぜ後悔に気づけたかというと、このメッセージに対し、御仁から返答がなかったので、またまたもやっとしてしまったのだ。半分は怒りのような感じ。ではなぜ怒りがわいたのかと自分に問うてみると、「せっかく自分は自分を我慢していい人メッセージしたのに、反応してくれないなんてひどい」という気持ちだった。おそらく御仁は、まだ機嫌が直っていないのを見抜いていて、もう少し距離を保ったほうがいいとわかったので、返信しなかったのだと思う。それがわかるだけに、ニコニコ仮面でいい人をしたことで、せっかく自分は自分の気持ちに正直に「疲れた」と言えたことを、自分が自分で台無しにしたような気持ちになった。

それでも、ニコニコ仮面をした後にも、気づける自分というのは結構成長したなと感じる。御仁の気持ちばかりを優先してきた自分だが、今は御仁の気持ちよりも自分の気持ちを優先したいと心から思っている。それでだめなことがあっても別にいいやと思える。ようやく私は自分に帰るところまで回復したようだ。